歯の矯正のメカニズムって不思議! 歯はこうして動くんです

もし歯の矯正をしてみたいと考えたことがあるのなら、どのように歯を動かしていくのかそのメカニズムも気になりますよね。痛みは?矯正方法は?期間はどれぐらいが掛かる?といった疑問や、歯が動く基本的な仕組みについてわかりやすく解説します。

歯の矯正ってどんな感じ?

笑った時にきれいに並んだ歯並びが見えるのは、笑顔をより一層引き立ててくれます。歯並びが気になって人前でうまく笑えない、しゃべるのが苦痛など、日常生活に支障をきたしているような場合、歯の矯正はそのコンプレックス解消にとても有効な手段です。でも、時間が長くかかるし痛そうなので躊躇しているという方も多いのではないでしょうか?

 

正しい歯並びは、単に見た目だけを美しく変えるのではなく、口腔内の状態を良好にし、健康や老化にも深く関わっているとても重要なものです。矯正によって正しい歯並びへと改善した場合、何十年か経って歳を重ねたときにも「痛みや時間がかかっても、あの時矯正しておいて良かった」と感じる事ができます。

歯列の矯正のメカニズム

歯の矯正の種類

歯の矯正と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、やはりワイヤーを歯全体に張り巡らせる方法ではないでしょうか。この歯列にワイヤーを張り巡らせる方法は「ブラケット方式」と呼ばれており、最もポピュラーな矯正方法です。しかし最近は、ブラケット方式のほかにも透明なマウスピースをはめる方法や、歯を動かさずに表面を削って被せもので形を整える方法などもあります。

 

まず、ブラケット方式ですが、歯の表面にボンドなどで器具を装着、器具にワイヤーを引っかけて引っ張り徐々に歯を動かすという方法です。装置は唇側だけでなく、歯の裏側に装着することもできます。またワイヤーや器具もプラスティックやセラミックなど、比較的目立ちにくい素材のものを用意している歯科医院も多くあります。

 

歯の裏側に装着する場合、目立ちにくくなるというメリットはありますが、表側に装着した場合に比べ、細かな歯列調整が難しくなります。また舌があたる為、発音しにくくなったりしばらく違和感があります。また、どちらのケースも食べ物が残りやすく、丁寧に歯磨きをしないと虫歯になりやすいため注意が必要です。

 

透明なマウスピースをはめる方法ですが、大よその目安として1日20時間程度装着し、歯を少しづつ動かすというものになります。目立ちにくく、自分で自由に取り外しができる為、人前に立つ場合などには便利ですが、ついつい外しっぱなしにしてしまったりと矯正が完了するまでの時間が長引く場合が多いようです。

また、小さな凹凸などの矯正には向いていますが、大きく歯を動かさなければならない場合などには不向きです。

 

最後に歯を動かさずに表面を削り被せもので形を整える方法ですが、この方法のメリットとしては、時間が掛からず、すぐに見た目がきれいになる事や、ワイヤーやマウスピースの場合に比べ費用も安く済むということがあります。ただし、デメリットとして歯並び以外は問題のない健康な歯を削らなければならないことや、歯列矯正ではないため噛み合わせの改善は難しいことなどが挙げられます。

 

歯の動かし方の種類

現代人の顎は昔に比べ細く小さくなってきており、生えてくる歯が顎に収まりきらずに八重歯やガタガタの歯列になってしまうことがあります。

 

顎に全ての歯が収まりきらないような場合は、歯を抜歯(前から4番目の第一小臼歯が選ばれることが多くあります)し、歯列を水平移動させスペースを確保します。この際、見た目だけでなく上下の歯の噛み合わせを重視しながら微調整を行っていきます。

 

なお、歯が完全に歯茎から露出していなかったり、逆に伸びすぎている場合は押し込む、引っぱり出すといった上下の調整が可能です。また歯が捻転していたり倒れているような場合も正常な位置まで歯の方向を回転させたり、歯を起こすということもできる為、上下前後左右と3次元的に細かく調整することができます。

歯が動く仕組み

歯は、一定方向に常に圧力を掛けることで動かすことが可能です。

 

歯の根っこの部分は直接骨に触れているのではなく、歯根膜という細かな腱で支えられています。人間の噛む力はその人の体重と同程度と言われており、食事のたびに歯と骨にその力が加わりますが、歯根膜がクッションとなることで歯や骨を傷めずに咀嚼ができるわけです。

 

ここで歯に一定方向で常に圧力を掛けると、この腱が押し潰され、その逆側は伸びている状態になります。この状態が続くと歯根膜は正常な位置に戻ろうとするので、体の反応として押された側の骨を溶かして吸収、また逆側には新たに骨を再生します。その結果、歯は一カ月に約0.3mm程度の速度で動いていくこととなります。

 

なお、このような動きは破骨細胞と骨芽細胞の働きによるものなのですが、骨の新陳代謝が深く関わっているため、成長期の子供は大人より早く歯を動かすことができます。

下だけ矯正できる?

人によっては上の歯は問題ないけれど、下の歯は並びが悪いので直したい、といったケースもあるかと思います。そのような場合は、下の歯だけを矯正し、上の歯に合わせて噛み合わせを調整してゆくということも可能です。

一本だけ矯正できる?

1本だけ歯並びを直したいという場合もあります。この際、動かす隙間がない場合は他の歯を抜歯し該当の歯を動かすといったことも可能ですが、隙間が埋められない可能性が出てきたり、噛み合わせが改善するわけではないので歯列全体の矯正に比べると見た目や機能面の改善は劣ります。

歯の矯正のメリット

歯を矯正することで得られるメリットとして見た目が良くなるのはもちろんですが、歯の噛み合わせが良くなることがとても重要です。

 

前述したとおり、私たちの歯や顎には食事の度に体重と同程度の圧力がかかっています。噛み合わせの悪い歯並びのまま咀嚼を繰り返していると、一定箇所に集中して負担がかかるので歯を痛めたり、顎関節症を引き起こす原因となります。また、左右均等に力が加わらないため、顔の歪みや頭痛、肩こりの原因にもなります。

 

矯正により正しい噛み合わせへ変化すると、上記の問題が軽減されるだけでなく、口腔内の唾液の流動性も良くなるため虫歯や歯周病になりにくくなります。また、歯並びにコンプレックスがあった場合、人前で話したり笑ったりすることに抵抗がなくなり気持ちの変化は大変大きなものとなるでしょう。

歯の矯正の問題点

ワイヤー式やマウスピース式で歯を完全に動かす場合、ケースにもよりますが平均で2年から3年の期間がかかります。また、動いた歯はしばらくの間、元の位置に戻ろうとするため、矯正器具を外した後もリテーナーと呼ばれる歯を後戻りさせない為の装置を付けておく必要があります。

 

リテーナーは、矯正器具を付けていた期間と同程度装着しておく必要がある為、こちらも大体2~3年使用することとなります。

 

なお、矯正器具を装着しているとワイヤーやブラケットが唇や舌に当たって痛みを感じることがあります。その場合は矯正用のワックスで当たる部分を包み込み不快感を軽減するなどの対策があります。

 

また、矯正器具を装着してすぐはワイヤーで引っ張られることによる鈍い痛みを感じることが多々あります。これは、歯根膜が圧迫され血流障害が起きていることによる痛みや、歯槽骨の吸収と再生による炎症が痛みを引き起こしているとされていますが、痛みのピークは1~2週間程度でその後は段々と治まってきます。

 

なお、この痛みを軽減する方法として高周波治療があり、歯槽骨の血流を上げ代謝を促進することで痛みが軽減されるというものです。また、代謝が上がるので歯の移動速度が高まるという効果も期待できます。

正しい歯並びの重要性

いかがでしたか?ワイヤーやマウスピースによる矯正は時間はかかりますが、自分の歯をあまり痛めることなく正しい歯並びへ改善することができます。よく”健康の基本は食事から”と言われますが、その食事を支えるのは歯です。きれいな歯並びを手に入れて心体共に健やかな毎日を目指しましょう。